突然、マユゲは立ち止まった。袋小路だった。
ああ、やっぱり。ヒゲは観念した。
マユゲがゆっくりと振りかえる。
なにかを喋っている。
わからない。
マユゲは笑う。
なぜ?
マユゲは後ろを指さした。
振り返った。
月。
まんまるの満月だった。
薄ら雲を透かしながら外国の夜空を照らしている。
夜風がびゅうと袋小路に入り込んだ。
マユゲはヒゲの横に立っていた。
空をさしてなにかを言っている。
なんとなくマユゲの言うことがわかったような気がして、ヒゲはうんうんとうなづいた。
ヒゲに何かを言うとマユゲはまた振り返り袋小路の奥へ歩きだした。
石の建物に囲まれた石畳の狭い路地の奥の石の壁には扉があった。
さきほど暗くてよく見えなかったがいまははっきりと見て取れた。
入口の上には読むことのできない文字で書かれた看板。
マユゲは扉をあけた。